日本人を対象とした腸内環境評価システムの開発
予防医療の検査サービスを展開している株式会社プリメディカ(所在地:東京都港区芝公園、代表取締役社長:富永 朋、以下「当社」)は、京都府立医科大学、摂南大学との三者共同研究(以下「本研究」)により得られた、日本人を対象とした腸内環境評価システムの開発に関する研究成果を三者共同で第21回日本抗加齢医学会総会にて発表いたしました。(PRTIMES)
【研究の背景】
当社と京都府立医科大学、摂南大学は日本人を対象とした腸内細菌叢データの統合解析による腸内環境評価システムの開発に関する共同研究を2020年より行っています。腸内細菌叢の研究は世界的に盛んに行われるようになり、膨大なデータが蓄積されるようになりましたが、蓄積されたデータは別々の研究で得られたものであることが多く、精度の高い横断解析は難しいという課題が存在しておりました。また、日本人の腸内細菌叢は諸外国の方とは異なると考えられており、過去の研究を用いて日本人の腸内細菌叢を特徴付けることは難しいとされていました。
今回の共同研究では健常人と疾病有病者を含んだデータ補正の必要がない日本人1,803名の腸内細菌叢データを統合解析いたしました。
【研究成果】
◆日本人特有のエンテロタイプの特定
一般的には、腸内細菌叢の特徴を表す指標としてエンテロタイプが用いられており、バクテロイデス属、プレボテラ属、ルミノコッカス属のそれぞれが優勢な3つのタイプに分類できるとされています。これらは摂取する炭水化物・タンパク質・脂肪のバランスといった食生活の傾向に影響されると考えられています。本研究では日本人の腸内細菌叢を特徴付けるエンテロタイプの解析に着手し、5タイプからなる評価グループを特定いたしました。
◆腸内細菌叢と疾患との関連性
従来の研究においては、疾患ごと、もしくは個別の細菌の働きに着目した研究がほとんどであり、各疾患との関連性を総合的に評価した研究は存在しておりませんでした。
本研究では日本人を対象とし、腸内細菌叢と各疾患との関連性を網羅的に解析したことにより、各腸内細菌叢のタイプと各疾患(炎症性腸疾患:IBD、機能性胃腸症、心疾患、内分泌疾患、精神疾患、肝疾患、胃がん、十二指腸がん、肺がん、高血圧、高脂血症、高尿酸血症、糖尿病など)との関連性が明らかになりました。
今回の研究結果を用いることで、これからの腸内細菌叢研究における標準的な評価指標として、幅広く用いられることも期待されます。
【今後の展開】
本研究成果である国内有数規模の日本人腸内細菌叢データベースを活用し、食品摂取や投薬による腸内環境への影響試験、食品の高付加価値化などの研究へ応用することを検討しております。食品介入による研究が進むことで、腸内細菌叢を改善し、あらゆる疾患を予防するためのより具体的な改善策の発見が期待されます。
また、当社では腸内細菌叢と疾患との関連性の研究成果を用いて、疾患リスク評価モデルの知財化を進めており、引き続き研究を行いながら更なるデータを収集し、国内最大のデータベース構築を目指します。
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社プリメディカ
担当:小川(事業企画部)
MAIL: mar@premedica.co.jp
■会社概要
社名: 株式会社プリメディカ
本社: 東京都港区芝公園2丁目3-3 寺田ビル 5階
設立: 2010年7月
代表: 富永 朋
事業内容: 予防医療事業、最先端医療の研究開発事業
企業URL : https://www.premedica.co.jp/